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いのちのためのテクノロジー

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人工腎臓【ダイアライザ】

腎不全患者の“いのちのツール”

腎臓の機能が低下して「慢性腎不全」になると、「人工透析」を行わなければなりません。この人工透析に欠かせないのが、腎臓の代わりとなって血液をろ過してくれる「ダイアライザ(人工腎臓)」です。

腎臓は、何をしているんだろう?

腎臓は血液を「ろ過」して尿をつくり、体外に排出するとともに、体内環境を調節するなどの役目を担っています。
腎臓は握りこぶし程の大きさで、腰の上あたりに左右1つずつあります。身体じゅうの血液は必ず腎臓でろ過され、そのときにこしとられた老廃物などが尿となって膀胱(ぼうこう)に送られ、体外に排出されるのです。

では、腎臓の中はどのような構造になっているのでしょうか?

腎臓は、血液ろ過を行う「糸球体」とそれを包みこむ「ボーマン嚢(のう)」と「尿細管」からなる「ネフロン」と呼ばれる組織によって構成されています。糸球体でろ過された血液中の老廃物などは、ボーマン嚢で受け止められ、尿細管へと流れていきます。また、尿細管では水分や身体に必要な成分を再吸収します。
この腎臓の基本的な機能単位であるネフロンは、腎臓ひとつあたりに約100万個、左右で200万個程度あるといわれています。

人工透析とは

慢性腎不全になると、腎臓の機能が衰え、血液中の老廃物などを体外に排出できなくなり、放置しておくと数日から数ヶ月で死にいたる危険な状態におちいる可能性があります。
したがって、血液を別の方法でろ過し、毒素をとり除かなければなりません。それが「人工透析」なのです。

人工腎臓「ダイアライザ」の役割

図のように患者さまの動脈側から取り出した血液は、ポンプで圧力をかけながら「ダイアライザ」と呼ばれる人工腎臓に送られます。
ダイアライザ内の血液は、半透膜※1でできたストロー状の細い管(中空糸)の中を流れ、半透膜の表面に空いた無数の孔(あな)「ポア」を通じて管の外で血液と反対の方向に流れる透析液※2と接触。その際、尿素や老廃物など人体にとって有害な物質や余分な水分は透析液側に移行し、さらに、電解質など身体に不足している物質は透析液から血液に補われます。
一方、赤血球やアルブミンなど人体に必要な物質は、ポアよりも大きいため出て行かず、血液中にとどまります。

こうして浄化された血液は、静脈側から体内に戻されます。血液が浄化されるまでの時間は、1回あたりおよそ3~5時間。それを週3回行います。

腎臓の機能を人工的に作り出した医療機器、それがダイアライザなのです。

※1 半透膜:一定の大きさ以下の分子やイオンのみを通す膜のこと。半透膜の一種であるセロハンは、塩水中の水の分子は通すが、大きな塩の分子は通しません。

※2 透析液:血液に近い濃度の電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)やブドウ糖などを含んだ水溶液。人工透析1回あたり約120~150リットル用いられます。

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性能を決める「糸」づくり

右の写真の通り、ケースの中には、中空糸がびっしりと詰め込まれています。その数およそ1万本。直径は約200μm(約0.2mm)、厚みは約15~45μm(約0.15~0.45mm)です。

ダイアライザの性能を決めるうえで、中空糸表面に形成されるポアの大きさや密度はとくに重要です。患者さまの症状によって、取り除くべき主たる有毒物質が異なるため、ポアの大きさを変えた中空糸を取り揃えておく必要があります。
また、ポアが大きければ短時間で老廃物などを排出できますが、急激な変化は患者さまの身体に大きな負担を与えてしまうため、患者さまの体力に応じたポアの大きさの中空糸を取り揃えなくてはなりません。

ポアの大きさを自在にコントロールできる「糸づくり」の技術が、ダイアライザの性能を決める重要なポイントとなるのです。

「血液凝固」との戦い

ダイアライザの性能を決める、もうひとつ重要なポイントがあります。
それは「血液凝固」の抑制です。
血液には、体外に出たり異物に触れたりすると固まる(凝固する)という性質があります。傷を負った際に、凝固して失血を防ぐという命を守るための機能です。

ところが本来生命維持のために無くてはらないこの性質が、ダイアライザにとっては大きな問題となってしまいます。
血管の壁の損傷によって血栓(血の塊)ができるように、ダイアライザ内に血流を妨げるような凹凸があると、そこで凝固が生じてしまうからです。凝固を防ぐために患者さまに抗凝固薬を投与しますが、それだけでは完全に防ぐことはできません。

そのため、約1万本の中空糸をウレタン樹脂で固めた「中空糸支持体」を形成する際には、血流を妨げることのないよう、いかに中空糸の穴を潰さず、均等に配置し、かつその樹脂表面を凹凸なく仕上げるかが重要となるのです。

生体適合性への絶えざる挑戦

ダイアライザはこれまで、絶えざる進化を遂げてきました。長さ30cm程度のダイアライザには、高精度かつ繊細な、目には見えない膨大な技術が詰まっています。
しかし「人工物」であるダイアライザが、患者さまの身体に何らかの負担を与えていることも事実。この負担を限りなく「ゼロ」に近づけていくため、機能の中心を担う中空糸の構造や材料の検討をはじめ、あらゆる角度から研究開発が進められています。
本物の「腎臓」の機能を目指して、ダイアライザの進化は続きます。

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